弐段審査を終えて 約5年前の初段審査。
思い返せばなぜ合格できたのか今でも分からない。
初めての黒帯審査、夢に見た黒帯がすぐそこにあるという喜びに胸が躍り、自分なりに時間を費やし準備して臨んだものの、組手審査の途中で肋骨が折れ、息絶え絶えで何とか乗り切り、到底誉められるものではなかったと今でも痛感する。
黒帯を許されてからは、無様な真似はできないと色帯時以上に強さと稽古にこだわった。
転勤で名古屋に住むことになっても現地の道場に通い稽古を続けた。
そこでの先輩方に黒帯の在り様を学び、大会を通して強くなることを知った。
鹿児島に戻ってからは、「今からでも遅くない」「子どもたちが誇れる父親になれたら」と思い、大会に出場するようになった。
大会を経験するたびに色々な面で変化が見られ、メリハリも生まれ、積極性が増した。
本音を言えばあまりしたくなかった少年部の指導も進んで経験を踏むことで気づかなかった空手の面白さに気づけた。
家族の理解も得、生きる糧・軸が空手になりつつあるなと思った矢先、今回の受審の話を頂いた。
正直嬉しかったが、5年前の記憶が鮮明によみがえり、不安で何度も寝付けなかった。
数年続けていた走り込みに加えて、出勤前の時間を使って拳立て・スクワット・建物内での階段上がりなどを何度も繰り返し、基礎体力の向上を図った。
しかし、やりっぱなしでケアが足りなかったことが祟ったのか、審査2週間前に右足の肉離れをおこした。
気持ちが折れ、受審をあきらめかけた。
悶々としながら、なんとか治療を続け、審査数日前に意を決して受審する旨を伝えた。
不安を抱きながら審査当日を迎えた。
跳躍を伴う飛び後ろ回し蹴りや型に怖さを覚えつつなんとかこなし、残すは20人組手だけとなった。
ペース配分を考えて組手に臨んだが、最初からオーバーペースになってしまい、13人目を終えるあたりで、周囲の声援等が次第に耳へ入らなくなってきた。
最後は気力だけを振り絞り、20人目を終えた時は「こんなわたしでもできたんだ」という高揚感を得た。
前回より充実感や達成感の大きさが違った。
受審して良かったと骨身に染みた。
コロナ禍で制約の多い現在、思うようにいかないことばかりであるが、今まであまり目を向けてやらなかった稽古を励むようになるなど良い面でメリットも感じている。
これまで以上に初心を忘れず、じっくりと稽古に向き合って精進したい。
最後に、今回受審の機会を与えて頂いた竹師範をはじめ、有村師範代、別府先生、南野先生、審査前に足のケアを丁寧にして頂いたメディカルの丹羽先生、審査に携わって頂いた諸先輩や鹿児島中央道場、伊敷道場の皆様に深く感謝致します。
また、ここまで文句も言わず見守って頂いた家族や私の周囲の方々に併せて深く感謝致します。
誠にありがとうございました。 押忍